身体のこと
変化の主体はその人自身にある
堀江卓嗣
「この痛みを取らなければ」施術をしていると、そう思うことがあります。
痛みを減らすことは、私たちの仕事の一つです。
それを求めて来てくださる方もいます。
だから、痛みを軽くしたいと思うこと自体が悪いわけではありません。
ただ、その気持ちが強くなりすぎると、少しずつ目の前の身体が見えなくなることがあります。
「ここが原因ではないか」
「この筋肉を緩めればいいのではないか」
「この動きを変えればいいのではないか」
こちらの中に答えができるほど、身体をその答えに当てはめて見てしまう。
私自身、そこは気をつけています。
身体は、こちらの予想通りに動いているとは限りません。
痛みがある場所とは別のところに強く力が入っていたり、呼吸が止まっていたり、ある場所だけが必要以上に動いていたりすることもあります。
だから私は、
「痛い場所はどこですか」
「どんなときに痛みますか」
ということはもちろん聞きます。
でも、その情報だけで身体を見ることはしません。
呼吸はどうか。
姿勢はどうか。
動いたときにどこが動いているのか。
どこに力が入りやすいのか。
身体全体を見ていきます。
そして、そのときに大切なのが、
「私が変える」と思いすぎないことだと思っています。
施術者やインストラクターができるのは、身体に働きかけたり、動くきっかけをつくったり、気づきを渡したりすることです。
でも、実際にその変化がどう起きるのかは、その人の身体の中で起こることです。
こちらが答えを決めるのではなく、
身体の反応を見ながら考えていく。
そのくらいの距離感でいる方が、身体から教えてもらえることは多い。
痛みだけを追いかけないこと。
それは、痛みを軽く見ているわけではありません。
むしろ、その人の身体を一部分だけで終わらせず、もっと広く見ていくために必要なことだと思っています。