身体のこと
ピラティス
良い姿勢とは?「ピシッと立つ」より大切な呼吸と身体の使い方
堀江卓嗣
STUDIO sumicaにお越しになる方から多くいただくご相談の一つが、「姿勢」についてです。
猫背が気になる。
反り腰が気になる。
首が前に出ているように見える。
立っているとすぐに疲れる。
そんな悩みから、「姿勢を良くしたい」と来てくださる方も少なくありません。
でも僕は、姿勢を見るときに「きれいな形に直すこと」から始めることはほとんどありません。
大切なのは、その姿勢で身体がどんな状態になっているのかを見ることだと考えているからです。
「ピシッとした姿勢」が楽な姿勢とは限らない
「良い姿勢をしてください」と言われたら、どんな姿勢を取るでしょうか。
胸を張る。
背筋を伸ばす。
お腹に力を入れる。
そんな姿勢をイメージする方も多いと思います。
見た目には真っ直ぐになるかもしれません。
でも、その姿勢をしばらく続けてみると、肩や背中、お腹などに力が入っていることがあります。
そして、
「この姿勢をずっと続けるのは大変だな」
と感じる。
これでは、日常で使える姿勢とは言いにくいと思います。
姿勢は一瞬だけきれいに見えればいいものではありません。
立ったり、歩いたり、座ったり、呼吸したり。
その中で身体が無理なく動けることも大切です。
STUDIO sumicaが考える「良い姿勢」
僕が姿勢を見るときに大切にしているのが、重力との関係です。
僕たちは立っているだけでも、常に重力を受けています。
その中で、必要以上に身体を固めることなく立っていられるか。
その一つの感覚として大切にしているのが、身体が上下に伸びながら、横にも広がれることです。
頭の方向へ伸びていく感覚と、足の裏が床に触れている感覚。
そして呼吸をしたときに、肋骨が前だけではなく、横や後ろにも広がっていくこと。
ただ背筋を伸ばすのではなく、身体の中に広がる余地がある。
僕はそんな状態を大切にしています。
姿勢と呼吸は別々ではない
姿勢を見るうえで、呼吸はとても大切です。
呼吸をすると横隔膜が動き、それに伴って肋骨や胸郭も動きます。
そして胸郭の後ろには、背骨の一部である胸椎があります。
つまり、呼吸と胸郭、背骨の動きは完全に別々のものではありません。
だからセッションでは、立っている形を見るだけではなく、
「その姿勢で呼吸ができているか」
も確認します。
一見きれいに立っていても、呼吸するたびに肩が大きく上がっていたり、お腹だけが動いていたり、肋骨の広がりが小さかったりすることがあります。
逆に、呼吸をしてもらいながら身体に触れたり、少し姿勢を変えたりすると、先ほどとは違う場所まで呼吸の動きを感じられることもあります。
その変化を見ながら、その人にとって無理の少ない姿勢を探していきます。
姿勢を整えることは、形を固定することではない
姿勢を整えるために、筋力が必要になることもあります。
でも、鍛えることだけが答えではありません。
すでに必要以上に力を入れて立っている人に、さらに「力を入れて姿勢を保ちましょう」と伝えたら、もっと頑張って立つことになってしまいます。
そういう人には、まず余分な力を抜くことが必要かもしれません。
呼吸をする。
身体に触れてもらう。
自分がどこに力を入れているのかを知る。
そして、少し力が抜けた状態で立ってみる。
そのあとに必要な動きをピラティスで行っていく。
STUDIO sumicaでは、そんな順番で姿勢を見ていくことがあります。
姿勢は「正す」より「見つける」
姿勢には、一つの正解があるわけではないと僕は考えています。
その人の身体も違えば、そのとき行っていることも違います。
ずっと同じ姿勢でいることが目的でもありません。
だからこそ、
「正しい姿勢にしなければ」
と身体を固めるより、
「今の自分は、どんなふうに立っているんだろう」
と感じてみる。
呼吸はできているか。
どこかに必要以上の力が入っていないか。
楽に立っていられるか。
そうやって自分の身体を知りながら、自分にとって無理の少ない姿勢を見つけていく。
姿勢を整えることは、外から形をつくることではなく、自分の身体の使い方を知っていくこと。
STUDIO sumicaでは、そんなふうに姿勢を考えています。